人生の選択で得た羨むほどのセカンドライフ

 つい先日、Burtonのスタッフフォトグラファーを長年務めているDean Blotto Gray(ディーン・ブロット・グレイ)から10月頭に日本に行くと連絡が届いた。ブロットは’98年頃からBurtonのスタッフフォトグラファーとして活躍し、これまでに数多くの広告写真を撮影してきた。そして1年中、世界トップクラスのライダーとともに行動し、各国を旅しながらスノーボードの写真を撮り続けてきた。ギギ・ラフやJPソルバーグなどが使っていたUnincというボードシリーズの写真はブロットが全て撮影。特にトレバー・アンドリューとのセッションが多く、彼の印象的な写真をいくつも残している。そんなブロットに大きな転機が訪れたのが数年ほど前。それまではBurtonライダーのみしか撮ることが出来ない契約だったが、年間40日を除いてBurton以外の撮影も出来るようになったという。契約の条件が変わってからはニューヨークを拠点にさまざまな写真を撮りだしている。
 ブロットと数年ぶりの再会は渋谷だった。借りてきたという自転車に乗って、渋谷駅前にある交番の前にふらっと現れた。そしてほど近い焼き鳥屋で小一時間ほどゆっくり話した。いつもはクレイジーなパーティか、オンスノーでのシリアスミッションの合間で少し話す程度だったから彼と差しで飲むのは新鮮だった。焼き鳥屋でお互いの近況や、今のアメリカの状況、ニューヨークの生活の話とか、そして他愛もない日常のことなどいろいろと話した。アメリカではSnowboarder誌とTransworld Snowboarding誌が一緒に雑誌作りをしている話とか、海外のフォトグラファー事情とか。最近ではGucciとのコラボコレクション、Gucci Ghostを手掛けるなど世界的なアーティストになったトレバー・アンドリューや自転車、そしてスケートボーディングの写真も撮っているという。今回、日本に来たのもニューヨーク発の自転車ファッションブランド、Chari & Coのシューティングと彼女との旅行のため。いままで1年中旅を繰り返し、年間200日以上も雪の上でファインダーを覗いていた男が、実に楽しそうにさまざまな撮影と向き合っている姿は肩の力が抜けていてとてもリラックスしているように見えた。スノーボード、スケートボーディング、そして自転車の写真を彼の撮りたいタイミングで撮る。広告的な写真だけではなく、よりアーティスティックに写真と向き合っている現在のライフスタイルは写真が持つ純粋な魅力そのものを楽しんでいるように感じた。今の環境の中で彼は充実した生活を送っていることを知った。
 最前線で活躍し、引退したライダーたちにも今の人生があるように、あのとき裏方として活躍していた人たちにも今がある。スノーボードから離れた人たち、そして現在もスノーボードインダストリーの中にいる人たちなどいろいろだ。ブライアン・イグチやテリエ、ジェイミー・リンのように今もなおライダーとして活躍している人たちはもちろんビッグリスペクト。そしてスノーボード以外の人生を歩みだした人たちも、彼らのパーソナリティを形造る歴史の中にスノーボードで得た貴重な経験があるのは間違いない。例え今の職業がスノーボードからは離れていていたとしても、根底に流れるスノーボーダーの血は決して変わっていないだろう。そんな彼らの今の人生にも最大限の敬意を表したいと思う。

-AY

 


ブロットとショーン・ホワイトとの撮影のショートドキュメンタリー。このときの写真が当時のBurtonの見開き広告になっている。

 


ブロットが持ち運んでいる機材を詳しく説明している興味深い動画。

 


アーティストになったトレバー・アンドリューのGucciとのコラボレーションGucci Ghost。Gucciオフィシャルサイトで値段を見てまたびっくり。

 

スノーボード snowboard burton バートン

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