フリースタイルって自由じゃねーの?

 1956年に誕生したスナーファーという雪上横乗りおもちゃをスノーボードの起源とすると、スノーボードが誕生して今年で60年も経ったらしい。「新しいスポーツ」なんて言われてるけど、60歳と言えば人間で言えば十分おっさんの年だ。スキーと比べたら確かに若いが、そもそも比べる相手が悪い。スキーの誕生は確認されている限り紀元前2500年前らしい。もうよく分からないほど昔なので、スキーと比べるのはもうやめよう。話を戻すとやっぱり60歳は若いとは言えない年齢なのは間違いない。そして60年も経つと道具も驚くほど進化して、実に乗りやすく快適になってきている。それは実に素晴らしいことだ。それに伴ってスノーボードのジャンルは細分化してきている「らしい」。バックカントリー、サイドカントリー、フリーライディング、パーク、ジブ、ストリート、スノーサーフ、サーフライド、フリースタイル、ハーフパイプ、スロープスタイル、ボーダークロス、スプリットボーディング、ボウル、バンク、スーパーGなどなど。それぞれのジャンルに合わせてギアが特化され、自分の好きなジャンルをとことん突き詰めていけるように細分化しているという。
 だけど、ちょっと待てよ。VHSSNOWを見ている人たちの中には上に羅列したカテゴリー分けに違和感を感じる人もいるだろう。上に挙げたジャンルはジャンルとは名ばかりで、よーく見るとどうも同じようなものがあったり、ジャンルというかアイテムの名前だったりしているわけで。つまり細かくジャンル分けされているように見えて、それぞれの境目はとても曖昧というか、実のところ境目なんてない。細かい話をするとバックカントリーでもハンドプラントや高回転スピンなんてフリースタイルな滑りをするニコラス・ミューラーみたいなライダーもいるし、スロープスタイルコースでスピンをするわけでもなく、ひたすら壁を当て込んでサーフライドしてる人もたくさんいる。
 要するに何が言いたいかというと、ジャンル分けに躍起になっているのはいろんな種類を売りたいメーカーやメディアの都合。ごちゃごちゃ御託を並べるプロパガンダなカテゴリー論者に惑わされてはいけない。重要なのは、1枚の板を横に乗ってどんな風に滑ろうがすべてスノーボーディング。仮にフリースタイルという言葉をスノーボードで定義するならこうだ。バックカントリーでも、ストリートでもパウダーでもゲレンデでも好きなように自由に滑るジャンルのないスノーボードこそフリースタイル。
 伝説の男、マイク・バシッチは2006年にヘリからの落差36mというありえない高さから飛び降りたことがある。やった理由は「ヘリから飛び降りてみたかったから」。もはやその発想が異次元で究極の自己満足。だけど彼のまっすぐなスノーボードに対する向き合い方こそフリースタイルそのもの。自分もちゃんとやりたいことできてるか、と自問しては「今シーズンこそは」と毎年思う日々。
-AY

 


ニコラス・ミューラーの滑りのスタイルはカテゴライズすることはできない。強いてカテゴライズするならTHIS IS SNOWBOARDINGとしか言いようがない。

 


マイク・バシッチが成し遂げた伝説のヘリドロップはブランドの広告にも使われたが、あまりの非現実っぷりに合成だと思っていた。リアルと知った時の衝撃は半端無かった。

 

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