
その構想が練られたのは、今から1年半ほど前に遡る。
アメリカ北東部のとあるスノーボードカンパニーで働いていた数名が、ブランドのベースステーションを設置するために、サマーキャンプの聖地であるマウントフッドへと赴いた。そこで彼らは、スノーボードに人生を捧げ、年がら年中スノーボードと向き合う若手のローカルライダーたちと生活をともにすることになった。その若い連中の頭のなかは、朝から晩までスノーボードのことばかり。山に上がればほとんどの時間をパークで過ごし、下山してからもバックヤードの手作りのセクションをヒットする。そして夜は遅くまで酒を片手にスノーボードについて語り合う。もちろん、調子のいいパークやスポットがあれば、すぐさまトリップへと出掛けたりもする。そんなバガボンドライフを送る彼らだが、たとえ汚れたバックパックを背負って旅に出ようとも、友達の家を転々としながらソファで寝泊まりすることになろうとも、ギアに対するこだわりは非常に強かった。
移動は多いけれどローカルシーンに根付き、フリースタイルマインドを決して忘れることなく、いつでもライディングするチャンスをうかがっているライダーたち。そんな彼らを満足させるためのモノを作ろうと、前述したスノーボードカンパニーの数名が立ち上がり、Degeneratiはスタートしたのだ。
ちなみに、Degeneratiという言葉は、このブランドのアイデアを思いついたメンバーが考えたもの。その意味は、「Degenerate(堕落した人)」と、「Illuminati(悟りを開いた人)」を混ぜた造語で、とことんスノーボードに向き合うハイエンドなダメ人間、いい意味でのスノーボードバカといったイメージを込めているそうだ。