雪溶けと共に始まるもうひとつのバックカントリー

 まめってえかい!? ほうてい野郎。あ、すいません、ちょっと方言がきつすぎましたね。信濃の国、白馬・小谷地方のスラングで「調子はどうだい!? パウダージャンキー」って言ったんですよ。どうも、俺は白馬生まれヒップホップ育ち、畑にいるのはだいたいイモダチ、長澤隊長です。え~、こんな田舎のおっさんになんか書いてくれっつーもんで、ストレイト・アウタ・田舎なトピックを一丁。

 蓋を開ければ豊富な雪に恵まれた今シーズン、なかなかしぶとく滑ってた方々も多くいらっしゃったと思いますが、この辺のローカルが板を置くと同時に始めることといえば、それはS.A.N.S.A.I、そう、山菜採りです。こごみをはじめ、うど、いら、わらび、もみじがさ、こしあぶら、タラの芽、うとぶきなど、実に多くの大地の恵みを味わえる時期です。スノーボーダーやスキーヤーだけでなく、多くの村人たちがこの時期になると山に繰り出します。そこでは、普段腰の重いおっさんも、え? あんたそんな動きできんの? っつーくらい、いまだかつて見たことのないような身のこなしを繰り出したりします。山菜採りが人々を惹きつける魅力とはなんなのか。それは近年嗜む人が急速に増加している、バックカントリーに通じるものがある気がするのです。

 バックカントリーは管理されたゲレンデを飛び出し、己の責任の元で自然と向き合い、今まで培った知識と経験を総動員し、今日のコンディションの中でどこが雪崩のリスクも少なく、いい状態の斜面なのかを予想し、そこを滑り、一喜一憂するという、決してゲレンデの中ではできない経験ができることに魅力があると思います。山菜採りも同じだと思うのです。
 管理されたゲレンデが登山道だとすると、その登山道を飛び出し、己の知識と勘を頼りに極上のお宝が生える場所を探し出す。そこでは、この登山道を2時間歩けば稜線に出て、右の登山道へ進めばピークに出るとか、そんな考え方はせず、あの尾根を2本越えた沢の下の斜面には、絶対いいのが生えてるはずとか、山全体の地形を見る行動が求められます。そこが面白いのです。冒険心をくすぐるのです。普段動かないおっさんを少年に戻すモノがそこにはあるのです。「オラ、きんな(昨日)3時起きで半日歩き回って30kgくれえとってきたわ」なんて会話がよく聞こえてきます。イカれてますね。しかし、人をここまで狂わせる魅力があるということです。

 もちろん、道迷い、滑落、熊など、冬山と同じ位のリスクもあります。また、山菜採取が禁止されてる私有地には入ってはいけないなど、気を付けなければならないことも多々ありますが、もし貴方の近くに山をよく知る人がいて、安心して山菜採りに連れて行ってもらえるチャンスがあるのならば、是非とも一度この魅力を味わってもらいたいと思うのです。きっと、冬山にも役立つ経験にもなるし、なにより自分で採ってきた自然の恵みを食するというのはとてもいいもんです。すでにほとんどの山菜はもう旬を過ぎてしまいましたが、これからの時期は根曲がり竹のシーズンです。これがまた鯖缶と一緒に味噌汁に入れると最高なのよ。あー食いたくなってきた。ちょっと行ってくるか。じゃ、マタニティ~。

YUSAKU NAGASAWA長澤優作 / YUSAKU NAGASAWA長澤優作
YUSAKU NAGASAWA

白馬・佐野坂の土とヒップホップカルチャーのダシがきいた信州信濃の特産スノーボーダー。選ばれし勇者のみが同行を許される長澤探検隊を率いて、白馬周辺の急斜面を開拓中。死を覚悟するような崖に隊員をいざなうシグネチャートリックには要注意だ。たまにバックカントリーガイド、茅葺き屋根職人、絵描き、マイクをもてばMCチャラカッペ。

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